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「文科系」を読んで [本]

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最近図書館で長谷川町蔵+ 大和田俊之共著の「文科系のためのヒップホップ入門2」を借りてきて読みました。
「1」の方も以前読みましたが、すっごい面白いんですよ。ラップに興味のある人もない人もおすすめの本です。
前作はラップの創成期から現在までを追うだけでなく、ラップという音楽の独自性というか、音だけきいてるだけではわからない魅力をわかりやすく解説してくれて、学ぶところが多かったですね。

そこに登場する作品やラッパーはけっこう知っている人も多く、聴いたことのある作品もあったので、それほど感化されてラップを聴きまくるとかってことはなかったんですが、今回は2012-14年あたりの短期間の動向を門外漢にも詳しく解説してくれていて、かなり刺激を受けてラップ・モードというか聴いてみたい作品がいっぱいでてきました。

うちにも一応はラップのCDも少しはありますけど、ほぼ90年代どまりなので、先日のプレイリストにもあったドクター・ドレーなんかを引っ張り出して聴いたりして。それからしてが古すぎるんですけど。でもドレーはケンドリック・ラマーやアンダーソン・パークの後見人でもあるしね。って言い訳です。

とりあえず備忘録として、あの本を読んで思ったことを徒然に。
あとでじっくり考えてみたいことなのであまり、まとまりなく記しておきます。

あの2冊は日本でもアメリカのヒップホップをもっと聴かれるようにと作られたものだけど、はからずも日本でアメリカのヒップホップがいまひとつ聴かれない理由も明らかになっている。
それは本にも書かれてますけど、やはり言葉の比重の大きい音楽だということ。
ヒップホップは音楽じゃないという言葉もある通り、その「場」というかシーンを理解してないと楽しめない。わけじゃないが、魅力の多くの部分が削がれてしまうこと。一人二人聴いただけじゃしょうがない音楽みたい。

柳樂光隆氏との懇談の中に面白い記述が。
ジャズは60年代にリロイ・ジョーンズなどによって黒人音楽とアイデンティファイされた音楽だということ。なるほど。公民権運動などの時代の中でジャズが文化的拠り所として必要とされたってことかしら。

きゃりーぱみゅぱみゅもアメリカでCDだすならループの感覚を取り入れなきゃダメとか。
確かにそうなんだろう。でもスポティファイの各国チャートをみると日本だけガラパゴス的なJ-POP隆盛を見ることができるのは、音楽も欧米的グローバリズムに侵されていく他国を見れば、逆に日本って面白いとも思う。

他にも色々あったはずなんだけど、読み終わって1週間くらいたってるから忘れちゃったな。また思いだしたら記します。
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今年はよく本を読んだ [本]

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ブログの記事にはほどんど出来なかったけど、今年はかなり本を読んだ気がする。
NHKでドラマ化された上橋菜穂子「精霊の守り人」の原作を夢中で読んだのも今年の初めだった。
あと何より昨年からはまっていた藤沢周平を片っ端から読みました。

昨年は所謂剣客ものを読んでスカッとしてたんですが、今年に入ってからは市井ものも読んでみたら、これまた素晴らしくって。ほんとハマって片っ端から読みまくりました。
初期の作品はかなり暗いので最初敬遠してたんだけど、やはり作家の骨格となった力作が多く、感銘をうけましたね。感銘ってこういう時使うんだなってくらい。

おすすめはいっぱいありますが、初期の短編集「又蔵の火」は暗く悲劇的な物語が多いけど、どっしりと胸に残りました。もちろん直木賞受賞作を含む「暗殺の年輪」も。市井ものなら「橋ものがたり」や「暁のひかり」。まぁどれもおすすめですけどね。「蝉しぐれ」はやっぱ名作だし、「用心棒日月」シリーズは最高のエンターテイメントだし。

時代ものの小説なんて今までまったく興味なかったんだけど。
藤沢周平をあらかた読みつくして、最近は時代小説の大家である山本周五郎や柴田錬三郎なんかも読みましたね。
でもやっぱ藤沢周平が一番面白いと思うな。正月休みによろしければ。
来年は読んだ本についても備忘録として映画みたいに軽くでも記すことにしよう。
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校閲ガール [本]

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10月から石原さとみ主演の「校閲ガール」というドラマが放送されます。
テレビは朝ドラと大河ドラマくらいしか見ないので普段なら特別興味も持たないんですが、「校閲」という仕事を取り上げてるいることに興味をもちました。

宮木あや子という人の小説「校閲ガール」が原作なんですね。
読んでみたんですけど、これが結構面白いんですよね。マンガみたいにサクサク読めて、ブログなんてやっていると、読みやすい文章を書く人は尊敬しちゃいますね。
内容云々より読みやすく最後まで読ませる文章って書くこと自体が難しいですから。

それでその本の主人公を取り巻く人たちを主役にしたスピンオフ短編集「校閲ガール ア・ラ・モード」も読みました。こっちもおもしろい!

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校閲ガールと同じ出版者に務める東大出の堅い編集ガールを主人公にした短編では、彼女には同じく東大出の昭和の文芸評論家の研究を続ける恋人がいるんですけどね。
その彼は今の作家なんて100年後には残る人なんていないと馬鹿にするんですよ。文学をダメにしているのは出版社でその手伝いをしている彼女の仕事も俗っぽくて受け入れがたいと言い放つんです。

それに対して彼女はこう言うんですよ。

この世の誰もが深淵を覗いて深淵に覗き返されるような、怪物と戦い続けなきゃいけないような物語を望んでいるとでも思ってるの!? 伝統芸能の歌舞伎だって能だって元々は大衆の娯楽だよ! クラシック音楽だってだいたいは宮廷のサロンのために作られてたんだよ! 百年後にはもしかしたら三代目魚武濱田成夫がニーチェ並みの扱いになってる可能性だってあるんだからいいかげん私の仕事を否定するのはやめて!くうたんも私も、違うジャンルでそれぞれ意義のあることをしているんだってそろそろ受け入れてよ!」

ワハハ。座布団一枚!

来月には新作「校閲ガール トルネード」もでるらしい。こちらも楽しみ。ドラマも見てみようか知らん。
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「獣の奏者」を読む [本]

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リョザ神王国。闘蛇村に暮らす少女エリンの幸せな日々は、闘蛇を死なせた罪に問われた母との別れを境に一転する。母の不思議な指笛によって死地を逃れ、蜂飼いのジョウンに救われて九死に一生を得たエリンは、母と同じ獣ノ医術師を目指すが――。苦難に立ち向かう少女の物語が、いまここに幕を開ける!

年末も押し迫ってきたので、今日はもうひとつ記事を。忘れないうちに読んだ本のことも記しておこう。
今年はほとんど本を読まなかったんだけど、ひと月ほど前に上橋菜穂子の「精霊の守り人」を読んだ。

来年、NHKで綾瀬はるか主演でドラマ化されると聞いたので。「八重の桜」以来、綾瀬はるか贔屓なんですよね。で、それが面白くてシリーズものなので他のも読もうと思ったんだけど、8巻くらいあるみたいなので、そっちはやめて、同じ上橋菜穂子の「獣の奏者」にしました。こちらも文庫4冊もあるんだけど。
僕が上橋菜穂子という名前を知ったのはこの作品で、前から読んでみたいと思ってたんです。

こちらの作品もとっても面白くて、夢中になって4冊一気に読んでしまった。
一応児童文学らしいんだけど、大人が読んでも十分面白い。
ファンタジーといっても物語の重層性という意味では「指輪物語」をはるかに凌駕していると思うし、神話的な物語としても「スターウォーズ」よりもずっと上。ああいう物語を軽いエンターテインメントと片付ける人がいるけど、僕はそうは思わない。現代社会で神話とか昔話のような要素がああいった作品に受け継がれていると思ってる。

文化人類学者だけあって物語が重層的でこの手の物語にありがちな、ジブリ映画にあるような啓蒙的かつ説教くさいところが微塵もない。
NHKでアニメ化されたらしくYoutubeにちょっとのってたので見たけど、こちらはさすがに小学校低学年でもわかるようなものにされてるみたいだった。
でも小説はぜひ多くの人に読んでもらいたい素晴らしい作品だと思います。
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永い言い訳 [本]

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長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓。悲しさを“演じる”ことしかできなかった津村は、同じ事故で母親を失った一家と出会い、はじめて夏子と向き合い始めるが…。突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語。

西川 美和 「永い言い訳」。
映画監督としての作品「ゆれる」「ディアドクター」などはとても高く評価している。

読みながらこの人の作品は映画でも何かが足りないといつも感じるのだけど、本作もそう。
物語が収まるところにうまく収まりすぎるというか。読み手に不確かさというかうまく飲み込めない何かを残してくれない。そういうものがないと面白かった、よかっただけで終わってしまう気がする。

本作もとても面白く読んだのは確かなんだけど。
読後感がとてもいい本だけれど、ちょっと簡単に主人公は赦されすぎ?とも感じた。
でも良作なのは確か。ぜひ自身で映画化してほしいな。

「何が」
「自分が高を括っていたものの中に、実は大いなる世界があったんだってことが」
「たかをくくるって?」
「どうせ大したもんじゃねえだろ、って見くびることさ。見えない世界を見ようとしているうちに、見えてるはずの世界を見失ってしまうの。世界の進化なんかより、見えてるものをちゃんと見るほうが、ほんとはむつかしいんだよ」
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言葉に深く耳を澄ます人 [本]

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詩人の長田弘さんが亡くなった。
僕は平易な言葉で綴られた詩が好きで何冊か本棚にある。
エッセイというか散文みたいな文章も好きだった。

最初に手にしたのは94年の散文集「われらの星からの贈り物」だったろうか。
古今東西さまざまな人の残した言葉を集めた詩人言うところの「言葉のフロッタージュ」。

後の時代にどのように記憶してほしいとねがうかと訊ねられて、一九八九年に死んだ俳優のローレンス・オリヴィエが死の直前にバーバラ・ウォルタースの最後のインタビューにこたえて、遺言としてのこした答え。

「もし記憶してもらえるなら」と、オリヴィエはいった。「一人のまじめな職人として記憶しておいてほしいとおもう。詩人も職人だし、シェイクスピアもそうだ。神もね。一人の職人として生きられたことを、私はもっとも誇りにおもう」。ちょっと羞むようにして静かにそうこたえた老人の、穏やかな表情を覚えている。

長田弘さんは音楽にも造詣の深い人だった。
新書の「アメリカの心の歌」は音楽評論家とは違う詩人ならではの表現で音楽が語られ新鮮だった。
取り上げられているのはタイトルにあるようにジム・クロウチ、クリス・クリストファソン、キャロル・キング、マール・ハガードなどアメリカのシンガー・ソングライターの他にブレヒト&ヴァイル、ヴァン・モリソン、メアリー・ブラックなど。

書物だけでなく音楽にせよ語られたものにせよ言葉に深く耳を澄ます人であったと思う。
グラム・パーソンズとエミルー・ハリスの歌についてこんな風に表している。

一にしてニ。二にして一。グラム・パーソンズがつくりだしたのは、ソロであってハーモニーであるような歌の世界だ。いわゆるデュエットというのとはちがう。それはクラシック・ピアノで言えば、二台のピアノによるソナタでなく、一台のピアノの連弾のソナタだ。グラム・パーソンズがエミルー・ハリスとともにつくりだしたユニークなハーモニーを超えるハーモニーをつくりだした歌うたいも、グループも、いまだいない。


長田弘, 1939-2015. R.I.P.
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忘れられた巨人 [本]

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アクセルとベアトリスの老夫婦は、遠い地で暮らす息子に会うため、長年暮らした村を後にする。若い戦士、鬼に襲われた少年、老騎士……さまざまな人々に出会いながら、雨が降る荒れ野を渡り、森を抜け、謎の霧に満ちた大地を旅するふたりを待つものとは――。

カズオ・イシグロの13年ぶりの新作「忘れられた巨人」。
前作「わたしを離さないで」は映画で見た後、小説の方もパラパラっと。奇抜な設定に入り込むことができず映画も今ひとつだった。
でもGWはとりたててどこに行くという予定もなかったので、家内エンターテイメントをと思い楽しめそうな予感を胸に発売日に購入。

主人公がいつとも知れぬ時代(一応アーサー王の時代ではあるけど)を旅するとうい設定もありなんとなく「指輪物語」とか思い出しました。こういうの結構好きです。寓意を含んだ物語なので読む人によって色々な解釈があるだろうけど、独特の世界感も含め村上春樹に通じる現代のよくできたエンターテイメントでもあると思いました。
でも原題「The Buried Giant」を「忘れられた巨人」と訳すのは意訳しすぎじゃなかな。間違ってはいないけれども、読者が想像する余地を奪ってしまう。ちょっと残念。

記憶についての物語であり、忘却によっても失われない怒りや復讐の物語であり、永遠の愛についての物語でもある。文章も平易で読みやすく楽しめましたね。イマジネイティブな装画もよし。おすすめします。

でも、わたしたち船頭は長年にわたってたくさんの人を見てきています。偽りを見破るのに、さほどかかりません。それに、一番大切に思っている記憶を話すとき、人は本心を隠すことなど不可能です。愛によって結ばれているという二人の中に、わたしたち船頭は愛でなく恨みや怒り、ときには憎しみすら見ることがあります。あるいは、大いなる不毛とかね。ときには孤独への恐怖だけがあって、それ以外には何もなかったりします。年月を越える不変の愛など、めったに見られるものではありません。

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さよならの手口 [本]

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探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優に二十年前に家出した娘探しを依頼される。当時娘を調査した探偵は失踪していた――。

若竹七海「さよならの手口」。
正月休みに何かエンターテインメントものをと思って手にとったミステリー。タイトルがいいよな。
はじめて読む人だったけど、あたりでした。張られた伏線がきちんと回収されていく手腕はなかなか。主人公も魅力的で、過去作も読んでみたくなった。
物語がサクサク進みすぎて、読後感がかるすぎるかもしれないけど、面白かったです。
おすすめします。
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2666 [本]

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謎の作家アルチンボルディを研究する四人の文学教授、メキシコ北部の国境の街に暮らすチリ人哲学教授、ボクシングの試合を取材するアフリカ系アメリカ人記者、女性連続殺人事件を追う捜査官たち…彼らが行き着く先は?そしてアルチンボルディの正体とは?

ふ~ようやく読み終わった。
ロベルト・ボラーニョ「2666」。
とにかく圧倒的な文学体験というか物語体験みたいなものがしたくて、白羽の矢をたてたのがこの本。
GWから読み始めてちょうど二か月。重すぎて持ち歩けないのでコツコツ毎日。
時には1ページしか読まない時もあったけど、とりあえず毎日この本を開きました。
読んでいる間、常にこの本の重力に引っ張られているような日々でしたね。
残酷な描写もあるのに、常に詩情が漂い、文章を読む喜びが感じられるのがよかった。
求めていた圧倒的な文学体験が思う存分味わえる素晴らしい小説でした。

読み終わったばかりだし、850ページもあるので簡単に感想は言えませんが、一見つながりのなさそうな5つに分かれた部が最後に見事に収斂していくのは圧巻。そして、惹句にあるとおり、この本には「そこには世界の秘密が隠されている」と思いました。
とりあえず全体は把握したので、いずれまた所々拾い読み的に読み返したいと思います。
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なぎさ [本]

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故郷を飛び出し、静かに暮らす同窓生夫婦。夫は毎日妻の弁当を食べ、出社せず釣り三昧。行動を共にする後輩は、勤め先がブラック企業だと気づいていた。家事だけが取り柄の妻は、妹に誘われカフェを始めるが。

山本文緒「なぎさ」。
途中までよくある再生の物語かなと思っていたんだけど。
そんなに簡単に未来は明るくならないけれど、少しだけ前向きになれる結末に心が動きました。
佳作。
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