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言葉に深く耳を澄ます人 [本]

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詩人の長田弘さんが亡くなった。
僕は平易な言葉で綴られた詩が好きで何冊か本棚にある。
エッセイというか散文みたいな文章も好きだった。

最初に手にしたのは94年の散文集「われらの星からの贈り物」だったろうか。
古今東西さまざまな人の残した言葉を集めた詩人言うところの「言葉のフロッタージュ」。

後の時代にどのように記憶してほしいとねがうかと訊ねられて、一九八九年に死んだ俳優のローレンス・オリヴィエが死の直前にバーバラ・ウォルタースの最後のインタビューにこたえて、遺言としてのこした答え。

「もし記憶してもらえるなら」と、オリヴィエはいった。「一人のまじめな職人として記憶しておいてほしいとおもう。詩人も職人だし、シェイクスピアもそうだ。神もね。一人の職人として生きられたことを、私はもっとも誇りにおもう」。ちょっと羞むようにして静かにそうこたえた老人の、穏やかな表情を覚えている。

長田弘さんは音楽にも造詣の深い人だった。
新書の「アメリカの心の歌」は音楽評論家とは違う詩人ならではの表現で音楽が語られ新鮮だった。
取り上げられているのはタイトルにあるようにジム・クロウチ、クリス・クリストファソン、キャロル・キング、マール・ハガードなどアメリカのシンガー・ソングライターの他にブレヒト&ヴァイル、ヴァン・モリソン、メアリー・ブラックなど。

書物だけでなく音楽にせよ語られたものにせよ言葉に深く耳を澄ます人であったと思う。
グラム・パーソンズとエミルー・ハリスの歌についてこんな風に表している。

一にしてニ。二にして一。グラム・パーソンズがつくりだしたのは、ソロであってハーモニーであるような歌の世界だ。いわゆるデュエットというのとはちがう。それはクラシック・ピアノで言えば、二台のピアノによるソナタでなく、一台のピアノの連弾のソナタだ。グラム・パーソンズがエミルー・ハリスとともにつくりだしたユニークなハーモニーを超えるハーモニーをつくりだした歌うたいも、グループも、いまだいない。


長田弘, 1939-2015. R.I.P.
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